チベット問題の経緯(3)「天然資源の宝庫チベットの魅力」
2008年5月23日
何故、中国は隣国チベットを侵略したのか? 何故、嘗て、イギリスもチベットに興味を持ったのか? そして、何故、アメリカは、チベット民族解放運動を水面下で支援するのか?
これらの疑問に対する答えは簡単である。それは、チベットが、天然資源の宝庫だからだ。特に、ウランの埋蔵量は世界1位といわれるほどに豊富である。それ以外にも、リチウム、クロム鉄鉱、銅、ホウ砂、鉄なども世界有数の埋蔵量を誇っている。また、石油も例外ではない。アムド油田では、年間100万トンの原油が産出されている。そのことは、今回の四川大地震でも証明された。チベット自治区を中心に、核施設やウランの採掘施設が多々あり、それらの施設も被害を受けたからだ。しかし、そのことは、国家秘密であり、日本をはじめとする海外からの災害援助隊の目に触れさせたくないことである。そのような事情もあり、海外からの災害援助隊受け入れに中国政府は時間を要したのだ。
ここ数日、多くの核廃棄物が震災を受けた瓦礫の山の下敷きになっている、と日本のメディアも報道している。あれは事実だ。アムドの中国西北核兵器研究所(第9研究所)が、チベット高原に不明瞭な放射性廃棄物を捨てていることは、海外のメディアや関連団体が、以前から問題視していることだ。中国政府は、ウランを、チベット内アムドのアパにあるウラン鉱近くで精製している。そのことは、付近の住民であるチベット人達の多くが、放射能に汚染された水を飲んで死亡していることでもわかる。また、奇形の乳児や子供達、そして、動物が生まれ育っていることを見てみても一目瞭然である。
ウランが採れるから、核開発をする。善悪やモラル的なことは別にして、このことは、中国でなくとも、国家であれば国家戦略として考えることだ。ただ、それを軍事目的で使用するのか、平和目的で利用するのかは、その国の指導者の精神性や思想によって左右されることである。そのことは、北朝鮮の核開発問題を見ればよく理解できる。何故なら、規模は違うが、やはりウラン鉱がある北朝鮮の場合も状況が酷似しているからだ。
問題は、国民の犠牲を払ってまでも、ウランの精製をするべきではないということだ。国民の命を脅かしてまでも、核開発をするべきではない。そのことは、国以前に人としての意識に関わる問題だ。形は違っても、人の命を粗末にするような研究開発であるならば、それは嘗てナチスによって行われたホロコーストに等しい。人の尊厳を守ることは、最低限のルールである。そして、国民を守ることは、国家の最大の役目である。中国が、そのことを等閑にして、多くのチベット人達を傷付けていることは、隠し様のない事実だ。チベット問題を凝視すれば、一目瞭然である。