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政財界倶楽部         (恩田将葉見聞録)

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北朝鮮によるミサイル発射の意味

北朝鮮によるミサイル発射の意味
2006年7月6日

 今回の北朝鮮によるミサイル発射には、色々な意味が含まれている。それは、それぞれの当事国によって思惑も立場も違うので、関わる国々の数だけ違った意味がある。

 ここ1ヵ月程、メディア各社は、北朝鮮がミサイル発射準備を進めている、ミサイルを発射するかもしれない、ミサイル発射の危機は遠のいた、などなど思い思いの報道をワイドショー感覚で繰り返してきた。しかし、そのような最中でも、アメリカ政府と日本政府は、嘗てない程冷静にこの推移を見守り、対応策を相互協力のもとXデーに向かって整えていた。

 先週辺りから、マスコミは、ミサイル危機は遠のいたというような報道に変わり、ミサイルに関する報道も急減していた。しかし、アメリカ軍は、北朝鮮が近々ミサイル発射、いや具体的に発射は今週と特定していたとさえ言われている。そのことは、先週の小泉訪米の様子にも見て取れる。何故、エアホース・ワンに小泉首相を招くという異例の対応をしたのか? 答えは、簡単である。日米関係が強固であるということを見せる目論見も体外的にはあったであろう。しかし、一番の理由は、最重要極秘事項が、飛行中のエアホース・ワンの機内で話し合われたということだ。それは、北朝鮮のミサイル発射問題に関してであった。

 何故、エアホース・ワンなのか? その答えも簡単である。飛行中のエアホース・ワンの内部であれば、絶対に情報漏洩することはないからだ。非常に隔離された密室であり、会話を傍受されることも、盗聴されることも絶対に有り得ない。アメリカの軍事的諜報技術力を駆使すれば、エアホース・ワンからの情報収集ということも可能であろう。しかし、北朝鮮の現在の能力では無理である。

 軍事諜報能力的に、能力の低い北朝鮮へ対して何故そこまで万全の体制で臨んだのであろうか? それは、アメリカは、北朝鮮の背後に、中国ならびにロシアの影を見ているからである。当然のことながら、直接的に、積極的に、中国やロシアが北朝鮮を挑発したり、北朝鮮に指示をだしたりはしていないであろう。しかし、間接的に、手助けをしているということは十分に考えられることである。危機管理意識の強いアメリカは、少しでも可能性のあることに対しては、繊細に対応する。

 北朝鮮にアメリカがスパイを送り込むということは、不可能に近いことである。中東をはじめ他国へ対しては、アラブ系アメリカ人スパイ等も存在する。彼らの一部は、親の代から、その土地で生まれ育ち、草の根的に現地で親米諜報活動をしている。ところが、北朝鮮に関しては、そのようなことを為せずに、朝鮮戦争停戦協定成立以来きてしまっている。故に、アメリカは北朝鮮との交渉で、今までいつも北朝鮮に優位にことを運ばれ歯痒い思いをしてきたのである。そのことが、アメリカにとっては、北朝鮮に対しての大きなトラウマとなっている。ある意味、北朝鮮は喧嘩上手なのである。そのような感情が、ブッシュに、北朝鮮をナラズ者国家と言わしめたのかもしれない。

 少々脱線してしまったが、話を戻す。今回の北朝鮮によるミサイル発射は、ある意味、今後の世界情勢を左右することになることは間違いない。ここ数年、中国は急激に国力を伸ばしている。そして、日本の高度経済成長がそうであったように、今、高度経済成長期にある中国でも、エネルギー確保ということは国の最重要課題となっている。そのような状況下、現状、中国の世界戦略はエネルギー確保のための戦略と言っても過言ではない。中国には、ここ数年運が向いていた。何故ならば、アメリカは原油確保ということで焦った。それは、予想もしなかった、原油の基本通貨をイラクのフセイン元大統領が突然ユーロに変更してしまったからだ。ある意味、フセインは、非常に頭の良い政治家であったのかもしれない。これほどの大打撃と危機感を、アメリカが感じたことは嘗てなかったはずである。何故ならば、アメリカは借金大国であるからだ。借金大国ではあるが、全ての基軸通貨がドルで世界は回っているので、アメリカはどんどん借金を作っても、どんどんドル紙幣を印刷すればそれで回っている。しかし、全ての基軸通貨を左右する原油の基軸通貨がドルからユーロに変わってしまえば、アメリカは瞬時に破綻してしまう。何故ならば、アメリカならびにアメリカの同盟国は、原油を買うためにドルをユーロに買い換えて、買い換えたユーロで原油を買わなければならなくなるからだ。そして、原油価格がユーロに変われば、他のモノの基軸通貨も、右へ倣え、でユーロに変わってしまう可能性があるからである。

 ここに素早く目を付けたのが中国である。中国人の行動力は群を抜いている。ある意味、アメリカ人と中国人は似ているところも多々ある。やはり、大陸民族ということなのかもしれない。この隙を狙って、中国は、中東各国で原油の採掘権獲得に奔走した。同時に、アフリカ大陸でもエネルギー戦略を展開した。そして、まず、アメリカにとって長年の宿敵であるイランと親密な関係を樹立した。中国の胡錦涛国家主席は、驚くべき素早さで勢力的に自ら動いた。そして、その交渉力は、すさまじいものであった。中国人独特な交渉術なのかもしれない。直接的に原油の採掘権を確保することもあるが、どこの国とも、中国人の入国就労資格の特例を、資金援助や技術援助と引き換えに取り付けたのだ。その結果、中東やアフリカ諸国では、たった一年でチャイナ・タウンが誕生した。それほどに、多くの中国人が、中東やアフリカ諸国に流れ込んだのだ。そして、そのような、中国人達は、現在バブル状態にある中東においても、アフリカにおいても、貴重な労働力、技術力となっているのだ。中国特有の人海戦術である。

 アメリカは、テキサスやアラスカで採掘する産油量で自国分は取り敢えず賄える。しかし、それを同盟国にまで用立てるだけの余裕はない。ここのところが、非常に重要なポイントである。アメリカの危機管理的発想では、同盟国を守ることも、間接的に自国を守ることに繋がるのである。同盟国に原油が供給されなくなれば、同盟国は、敵方即ち中国を中心とする諸外国側に寝返ってしまう可能性がでる。そのことを、アメリカは常に懸念している。原油が供給されないということは、それぞれの国の死活問題に繋がる大問題であるからだ。日本も例外ではない。イラク戦争に踏み切ったのには、この辺の理由が大きく働いている。フセインをあのまま野放しにしておけば、原油の基軸通貨はユーロに変更されたままになり、フランスや中国などの思う壺になってしまう。そして、フランスも、中国も、イランとは緊密に繋がっている。また、北朝鮮にとっても、イランはミサイル販売のお得意様である。

 今回、北朝鮮はミサイルを1発どころか7発も発射した。まだ、続けて、発射する可能性は非常に高い。というか、間違いなく、もう何発か発射するであろう。このことが、北朝鮮にいかに不利益をもたらし、一線を越えた非常に危険なことであるかは、当事者である北朝鮮が一番良く知っているはずだ。どんなに、頭がおかしくなったとしても、そのぐらいのことはわかるはずである。にもかかわらず、このような暴挙を為したところに、アメリカが一番大きな関心を示している。経済制裁をアメリカと日本が発表した直後、北朝鮮側は、経済制裁は宣戦布告に等しいというようなコメントを発表した。同時に、北朝鮮による宣戦布告とも受け取れるようなことも発表した。これだけ強気で、喧嘩に望めるというところに、我々は注目するべきである。

 アメリカは、当初よりここのところを見極めたく、今回ここまで突き進んだのだと思われる。間違いなく、これだけ強気で喧嘩を吹っかけられるということは、その背後に後ろ盾がいるということだ。

 アメリカ人というのは、スーパー・マン等の数多くのヒーロー映画や漫画からもわかるように、ヒーローになることが好きな民族なのである。人から、頼られて知らん顔のできない国民性を持ち合わせているのだ。横田夫妻がブッシュ大統領と面会した。あの時、ブッシュ大統領は、スーパー・マン精神をくすぐられたはずである。そして、今回の北朝鮮によるミサイル発射が、ブッシュをスーパー・マンにしてしまうかもしれない。涙ながらに泣きついてきた横田夫妻の願いを、何もしないでアメリカが見過ごすはずがない。そこのところが、北朝鮮の思考能力の甘いところだ。北朝鮮の行動パターン、判断パターンは、非常に漫画チックである。しかし、アメリカの行動パターンと判断パターンも、時として非常に劇画チックになる時がある。そうやって考えると、今回のドラマは、未だ本番ではない。これからが本番であるような気がしてならない。そのことを北朝鮮は知るべきである。そして、今回のことで、アメリカは、中国とロシアの国連での出方を見ている。これだけの暴挙を為した国へ対して、毅然たる態度を中国やロシアが示さなければ、国際社会に於いての中国やロシアの信頼度は著しく低下することは間違いない。ある意味、アメリカは伸るか反るかの賭けにでたのである。この勝負で勝つか負けるかで、今後の世界情勢で優位に立てるか否かが決まると踏んだに違いない。

 また、日米同盟という観点からすると、違った思惑も垣間見える。北朝鮮がミサイルを発射したことは、非常に遺憾なことである。しかし、駐留米軍の基地問題や日米同盟に関し、日本国内では賛否両論色々な反論があり壁にぶつかっていた。だが、国益の最重要問題は領土問題と国民の安全である。その観点からすると、日米同盟は今まで以上に強固なものになるべきであり、日米の関係は戦後60年間の関係とは違った対等であり兄弟のような関係になるべき時にきている。日本人の多くは、平和ボケして、安全はタダで得られると思い込んでいる。が、しかし、実際はそうではないということを今回の北朝鮮によるミサイル発射によって、国民に知らしめることができたことは間違いない。案外、日本人は知らないが、極東アジアは地球上で最も軍事戦略上不安定な地域の一つなのである。誰も、平和を願っている。戦争などないほうがよい。だが、現実は、喉下に短刀を突き付けられ続けているような状態が何十年も続いているのが、この極東アジア地区なのである。そのことは、日本のみならず韓国も含めてのことだ。

 万が一、北朝鮮が、またミサイルを発射し、今以上に危機的な状況に陥れば、アメリカはまずピンポイントで、北朝鮮のミサイル基地を空爆するであろう。その直後に、当然のことながら北朝鮮は反撃をするはずだ。それは、アメリカに対してでもなく、日本に対してでもなく、まず北朝鮮が最初に攻撃するのは、ソウルである。北朝鮮が、死なば諸共でソウルを攻撃すれば、ソウルは30分以内に火の海と化すであろう。そのことは、アメリカが一番よく知っている。いや、軍事戦略上の常識であり、各国そのことは把握している。実際に、クリントン政権時、一度、あと15分でそのような危機に陥るということがあった。その時は、ソウルに赴任していた米国大使の機転で、ジミー・カーター元大統領の素早い訪朝でギリギリのところで回避された。この時、クリントンに強く北朝鮮空爆を迫ったのが、あのキッシンジャー教授こと元大統領主席補佐官である。

 こうやって考えていくと、今回の北朝鮮によるミサイル発射を契機に、それぞれの当事国にとって、綱渡り状態が始まったと言っても過言ではない。アメリカにとっても、中国にとっても、ロシアにとっても、日本にとっても、韓国にとっても、そして、北朝鮮にとっても。もう後戻りのできない、一線を北朝鮮は越えてしまったという気がしてならない。先日のブッシュ小泉会談後の記者会見での、ブッシュ大統領と小泉首相の北朝鮮のミサイル問題に関してのコメントと表情が気になって仕方がない。隠密裏に、非常に大きなことがあの時話し合われ、取り決められているようだ。そのことは、これからの強固な日米同盟の在り方を露にする軍事的なことであるはずだ。そして、そのことが我々に明かされるのは、北朝鮮との対峙の形としてであるに違いない。これ以上、緊密で緊張感のある日米関係は、多分歴史上ないであろう。非常に大きなことが起こる予感がしてならない。
by seizaikai_club | 2006-07-06 13:56 | 国際情勢
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「政治をもっと身近に」をスローガンにして、日本人にもっと「愛国心」を喚起すべく語る。
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政財界倶楽部代表  恩田将葉
 「政治をもっと身近に」をスローガンに、一人でも多くの日本国民が政治に関心を持ち、参加してくれるよう、執筆活動、出版活動等を通じ「愛国心」啓蒙活動をしている。国際化が進む世界の中で、日本の政治も若者の手で変革しなければならない!!

 政財界倶楽部代表恩田将葉は、 アメリカ合衆国カリフォルニア州で約9年間生活。その間、サン・フランシスコ州立大学(San Francisco State University, SFSU)国際関係学部で国際関係学と政治を学び、朝鮮半島問題専攻で卒業。その後、暫くアメリカで現地法人の会社(People Intertrade, Inc.)を経営した後帰国。帰国後は、記者と編集者を経て出版社である株式会社ぴいぷる社と株式会社政財界出版社、そして、夕刊紙「内外タイムス」を発行する株式会社内外タイムス社の社長に就任。活字業界一筋に生きてきた。現在は、経営から一歩引き、国際情勢ならびに政治を中心に、ジャンルを問わず執筆活動を継続中。プロの文士として、随筆、小説、脚本等あらゆる分野で執筆活動を展開し、文章を綴ることを天職としている。そのかたわら、日本に、嘗てのごとく「愛国人」を増やすべく、「政治をもっと身近に」をスローガンに、自ら「政財界倶楽部」を運営している。

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