日本国の立ち位置:
中国漁船衝突事件で海保殉職者という話が未だ飛び交う
2010年11月9日
尖閣諸島で起きた海保巡視船と中国漁船の衝突事件に関し、以前ここでも取り上げたように、あの事件の際海保に殉職者が出たとの話がある。実際に、石原都知事なども、テレビ番組でそのことに触れた。その発端は、どうも関西系のテレビ番組で、ゲストに招かれた元海保職員から出た話のようだ。それによると、殉職者1名、負傷者1名という話だ。そんな噂が飛び交うなか、まるでネット・クーデターのような、この事故の記録ビデオがネットに流出するという事件が起こった。政府は、流出犯を刑事告訴すると昨日発表したが、日本人の一人として大きな疑問を感じる。海保船に、日本の領海内で故意に衝突させた中国漁船は、訳のわからぬ理由で釈放され、日本の領土を死守しようとした海保の人間は、記録映像を流出したということで、公務員法にのっとって告発されるというのか? 一体、管政権、仙谷官房長官は、日本人なのか? 国益の第一義は国民の生命と財産を守ることではないのか? 領土を守ることではないのか? 疑問どころか、不信感と不愉快な思いを覚える。
海保に殉職者がいるという情報は、未だ確認が取れない。あの流出ビデオを見る限り、その可能性は低いのではと私は個人的に思う。その根拠は、もし殉職者や負傷者がでているのであれば、あの映像に映っている巡視船上の海上保安官の動きが、慌ただしく緊張感のレベルが違うと思う。彼らの緊張感溢れる対応は、十分感じられる。だが、前線で命がさらされている緊張感と、あの映像の緊張感は少々違うような気がする。
だが、そうだとしても、自分の職を掛けても海上保安官の誰かが流出したとすれば、そこには大いなるメッセージがあるはずだ。きっと、何かを訴えているに違いない。それだけ海保の人々が悔しい思いをしているに違いない。そのことは、我々国民は真摯に受け止めなければならない。菅政権にできないのであるのだから。海保や自衛隊の前線部隊の人々が、あのような状態では命懸けで任務にあたることなどできない。自衛隊も海保も、憲法上軍隊ではないのかもしれない。だとしても、政府も我々国民も、他国で軍隊を位置付けているような思いで、彼らを見守り応援することができなければ、この国を自衛することなど夢のまた夢、絵空事でしかなくなってしまう。
結論的に一言で言ってしまえば、日本政府すなわち菅政権の、政府としての立ち位置が定まっていないからだ。仙谷のような性格の人間の性格が、まるで日本国の性格のように国際舞台で露呈し、恥をさらしているということだ。ロシアや中国とのことを考える前に、国家はこの国のこと、国民のことを考えて言動しなければならないということを、まったく理解していない。即ち、立ち位置が定まっていないのだ。よって、沖縄問題でアメリカとの関係が揺らいだと見るや、ロシアも中国も行動に出たのだ。当たり前のことこだ。舐められたのだ。その一言だ。外交は、ストリート・ファイトと同じ。何が何でも、勝つか負けるか二つに一つ。どれだけ、仲間を自分の方に惹きつけられるか、日本人の価値観を貫き通していては、外交交渉で優位に立つことはできないのだ。毅然たる態度で臨まなければ。正直、外国対応を見ていると、民主党政権の無理を感じざるを得ない。