名古屋市長選にみる政党政治意識から脱皮できない民主党の大きな勘違い
2009年4月27日
26日、任期満了に伴う名古屋市長選の投票が行われた。民主党推薦の前衆院議員、河村たかし氏(60)が、自民、公明両党の県組織が支持する前中京大教授、細川昌彦氏(54)、共産党推薦の愛知県商工団体連合会会長、太田義郎氏(65)らを抑え、初当選を果たした。千葉県をはじめとする知事選、市長選で連敗を期していた民主党は、河村氏の当選を受け、来る解散総選挙へ向けて勝利の雄叫びを上げた。
しかし、この名古屋市長選は、民主党の勝利というよりも、河村氏自身の知名度と人柄、政治家としての信頼度が勝利の要因であり、必ずしも河村氏が民主党に推薦されていたから当選したということではない。そのことは、誰の目にも一目瞭然だ。ところが、藁をも掴む思いの民主党執行部は、河村氏の名古屋市長選挙当選を、大将首を取ったかのごとく過大評価している。こんなところにも、キレイごとを並べ立ててはいるが、政党政治体制から脱皮できていない民主党の軟弱さが露呈しているような気がしてならない。
ただ、今回の名古屋市長選挙を見て、評価したいことが一つだけある。それは、有権者の政治へ対する姿勢である。間違いなく有権者は、今までのように無責任な政党選びの投票をしたのではなく、自分の意思で立候補者を取捨選択し、河村たかし氏を選び当選させた。このような選挙へ対する有権者の姿勢が、大切であり、今まで日本国民に欠けていたところである。有権者の投票意識の変化は、小泉元総理による郵政選挙より、ジワジワと国民に浸透してきている目に見えない大きな意識改革であり、アメリカのオバマ政権誕生に匹敵する大きな政治改革の一つではないか。このような国民の政治意識革新が、来るべき解散総選挙においても発揮されることを期待したい。