政財界倶楽部         (恩田将葉見聞録)

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チベット問題報道の落とし穴

チベット問題報道の落とし穴
2008年5月19日

 先週、日本のメディアは、ドイツを訪問した第14世ダライ・ラマ法王に対し、一部チベット仏教僧侶達が批判のプラカードを掲げデモを展開した、というような報道をした。多分、日本のメディアが、第14世ダライ・ラマ法王に対する反対派もチベット仏教僧侶の中にはいる旨を伝えた、初めての報道ではないか。

 どうも昨今、日本のメディアによる報道は、感情的になりすぎる。確かに、チベット人達が迫害を受け、苦しんでいるのは事実だ。彼らを擁護したいという気持は、私もまったく同じだ。だが、こういう人権活動というのは、ただの流行や感情論だけで突っ走ってしまえば、必ずそのツケが支援者ではなく当事者に及ぶということを肝に銘じておかなければならない。

 個人的には、第14世ダライ・ラマ法王のことは嫌いではない。いや、むしろ好きだ。それは、第14世ダライ・ラマ法王だからとかという次元ではなく、1仏教徒として尊敬に値する人物であると感じてのことだ。だが、だからといって、感情論で彼寄りの記事を書くつもりはない。あくまで公平な目、耳で見聞した内容を記事にすることを心掛けている。よって、以前に書いたチベットの独立運動に関する複数の記事に於いても、第14世ダライ・ラマ法王を全チベット民族の代表、という誤解を招くような書き方は1度たりともしていない。常に、チベット仏教ゲルク派法王でありチベット亡命政府の最高責任者である、という書き方をしてきた。何故なら、現状、必ずしも全てのチベット人が第14世ダライ・ラマ法王をチベット民族の代表と認めているとはいえない事実もあるからだ。そこのところをしっかりと理解して報道しないと、先々誤解を招くことにもなる。そうなれば、その皺寄せを背負うのは、結局当事者であるチベット民族の一般民衆ということになりかねない。それほど悲しいことはない。

 アメリカをはじめ他国では、随分と昔より、チベット問題は真剣に議論されてきた。そのことは、ハリウッド映画などに、チベット問題に対するメッセージが織り込まれていることが多いことにも見て取れる。何故なら、チベット問題も、アラブ諸国で起こっている問題同様、ことの発端は嘗ての大英帝国、現イギリスにあり、西欧諸国の思惑によって起こった問題であるからだ。そもそも、このチベット問題は、インドと中国の間で、長年火花を散らし続けた領土問題にも繋がっている。そして、その元凶こそ、現イギリス、嘗ての大英帝国なのだ。

 歴史は繰り返すというが、皮肉にも、北京オリンピックをキッカケに、再び欧米諸国によって歴史は繰り返されようとしている。だが、今回の場合、公平な目で見て、迫害を受けるチベット族の人々の人権を守るという意味で、決して批判するべき動きでないことは確かだ。だが、その背後には、そういう純粋な人道的思惑とは裏腹に、一部商業主義を推進する輩による、大市場中国の資本主義化という思惑があることも確かである。そのことは、しっかりと踏まえていなければならない。

 第14世ダライ・ラマ法王は、盛んにチベット族の漢民族化を懸念する旨を訴えている。何故なら、第14世ダライ・ラマ法王の中には、嘗て、イギリスにより持ち込まれた資本主義によって、チベット人の魂が汚されたという意識が、アレルギーとしてあるからであろう。そのアレルギー症状が、中国の漢民族化政策に対しても反応を示していると思われる。確かに、中国はチベット族だけではなく、少数民族の漢民族化を嘗て政策として打ち出した。それは、チベット族だけではなく、数十ある少数民族の文化や歴史を消滅させてしまう可能性がある一大事である。だが、皮肉なことに、中国政府による少数民族の漢民族化を阻止した後には、アメリカをはじめとする西欧諸国による資本主義化が待っている。どう転んでも、第14世ダライ・ラマ法王は、チベット族のアイデンティティーを守り切れない可能性が大きい。というのも、中国政府や西欧諸国よりの圧力や思惑よりも、もっと大きな時代の流れと力がそこには働いているからだ。それは、物質文明を知ってしまったチベット人自身の内にある。

 現状、日本のメディアの報道だけをみていると、チベット民族は一枚岩のごとく報道されている。だが、実際にはそうではない。鄧小平の時代に、中国政府は「福利政策」を推進することにより、チベット族の自治を保障した。その結果、多くのチベット人が、その恩恵にあやかった。実際、チベット自治区の役人の多くがチベット人で占められていることをみてみても、そのことは理解できる。当然のことながら、恩恵を受けたチベット人達は、親中国政府である。それは、小さな力ではない、人数的にいってもかなり大きな数を占める。結局、物質文明をチベット族に持ち込み、贅沢を覚えさせ、中国政府側に付かせたのだ。これは、アメリカやイギリスの常套手段だ。嘗て、イギリスから嗅がされた「物質文明」という鼻薬を、今度は中国政府によって嗅がされたのだ。当然のことながら、恩恵をうけ恵まれた生活を送れるようになった人々は、中国政府に感謝し親中国になる。嘗て、イギリスへ対してそうであったように。

 また、この政策の延長線上には、宗教に対しての中国政府の強かな思惑も見え隠れしている。確かに、近代、ダライ・ラマはチベット族の代表のような位置付けにあった。しかし、厳密にいえば、チベット仏教には大きく分けて4派あり、第14世ダライ・ラマ法王は元を正せばゲルク派の法王である。その微妙な力関係が働くチベット仏教の歴史を、中国政府は逆手にとり、他派閥の僧侶達を上手く手なずけているのだ。よって、今回ドイツで起こったような、第14世ダライ・ラマ法王に対して批判的なチベット仏教僧侶が登場するのだ。ここでもう1つ理解しておかなければならない事実がある。それは、第14世ダライ・ラマ法王はあくまでチベット亡命政府の最高責任者であり、全チベット民族の代表者ではないということだ。そのことを理解していないと、後に迷路を彷徨ことにもなりかねない。このような複雑な状況下、チベットの独立運動は、理想論で突っ走るのではなく、実現可能な範囲内でのゴールを設定して活動しなければ、結局その皺寄せで苦しむことになるのは、他でもないチベット族の一般民衆なのだ。そのことを、我々他国の支援者達も理解して支援活動をし、報道すべきであると強く思う。
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by seizaikai_club | 2008-05-19 21:44 | 国際情勢
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「政治をもっと身近に」をスローガンにして、日本人にもっと「愛国心」を喚起すべく語る。
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政財界倶楽部代表  恩田将葉
 「政治をもっと身近に」をスローガンに、一人でも多くの日本国民が政治に関心を持ち、参加してくれるよう、執筆活動、出版活動等を通じ「愛国心」啓蒙活動をしている。国際化が進む世界の中で、日本の政治も若者の手で変革しなければならない!!

 政財界倶楽部代表恩田将葉は、 アメリカ合衆国カリフォルニア州で約9年間生活。その間、サン・フランシスコ州立大学(San Francisco State University, SFSU)国際関係学部で国際関係学と政治を学び、朝鮮半島問題専攻で卒業。その後、暫くアメリカで現地法人の会社(People Intertrade, Inc.)を経営した後帰国。帰国後は、記者と編集者を経て出版社である株式会社ぴいぷる社と株式会社政財界出版社、そして、夕刊紙「内外タイムス」を発行する株式会社内外タイムス社の社長に就任。活字業界一筋に生きてきた。現在は、経営から一歩引き、国際情勢ならびに政治を中心に、ジャンルを問わず執筆活動を継続中。プロの文士として、随筆、小説、脚本等あらゆる分野で執筆活動を展開し、文章を綴ることを天職としている。そのかたわら、日本に、嘗てのごとく「愛国人」を増やすべく、「政治をもっと身近に」をスローガンに、自ら「政財界倶楽部」を運営している。

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