アメリカ上院で共和党が巻き返し過半数獲得の可能性が・・・
2006年12月15日
共和党は、先の中間選挙で、上院でも下院でも民主党に過半数の議席をとられ惨敗した。その結果、ブッシュ大統領も窮地に立たされていた。だが、案外、ブッシュ大統領は強運の持ち主らしい。ここにきて俄かに、巻き返しのチャンスが予期せずして訪れた。
昨日、サウスダコタ州選出の上院議員である民主党のティム・ジョンソン氏(59歳)が、脳内出血で倒れた。意識がなく重篤な状態であり、議員としての職務遂行に支障が出る恐れが出てきた。死亡もしくは、議員としての職務遂行に支障が出た場合は、繰上げ当選ということで共和党議員になる。現在、上院では、無所属上院議員の2議席を含め民主党が51議席を確保している。総議席数が100であるので、共和党側が49議席ということだ。だが、ジョンソン氏が倒れたことによって、現状、無所属2議席を含め民主党側は50議席ということになる。もし、ジョンソン氏が抜けることになれば、繰り上がりで共和党議員が議席を獲得し、その結果、民主党50議席、共和党50議席ということになる。
上院には、条約の批准権や、大統領が指名した閣僚、大使、裁判官などの任命承認権がある。ここからが重要だ。上院議長は、副大統領が兼務することになっている。したがって、現在は、チェイニー副大統領が上院の議長を兼務している。そして、その議長には、ある特権が与えられている。それは、万が一採決に際し賛否同数になった場合、議長に投票権が認められているのである。ということは、共和党が上院で過半数をとることができる可能性がでてきた。このままでいけば、上院での議席数は、民主党と共和党が同数になる可能性が非常に高い。そうなると、採決をする場合、賛否同数になってしまう。その結果、議長が投票することになる。チェイニー副大統領兼上院議長は、言わずと知れた共和党議員である。そうなれば、共和党が過半数を取れることになるということだ。これは、ブッシュ政権にとって、いや、ブッシュ大統領にとって、非常に幸運なことである。中間選挙以降のブッシュ政権の動向が注目されていたが、ここにきて幸運の女神はブッシュ大統領に微笑んだようだ。暫く、アメリカ議会の動向は目が離せない。