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政財界倶楽部         (恩田将葉見聞録)

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松坂大輔のレッドソックス入団交渉にみるアメリカ的ドライな交渉術

松坂大輔のレッドソックス入団交渉にみるアメリカ的ドライな交渉術
2006年12月14日

 各種メディアの報道を通じ、ここ一ヶ月間松坂大輔右腕投手によるメジャー・リーグのボストン・レッドソックスとの入団交渉の成り行きが多くの日本人に注目されている。日本人の交渉術とは違い、松坂の代理人スコット・ボラス氏のドライな交渉術に、各界から批判の声が大きくなってきている。日本人は、金高本意の交渉に、不快感さえ、感じてしまう。それどころか、そういう交渉を代理人に許している松坂のイメージさえダウンしてしまいそうである。だが、ここは、冷静に見聞する必要がある。「郷に入ったら郷に従え」という諺があるではないか。今、松坂が交渉しているのは、日本のチームではなくアメリカの大リーグのチーム、即ちアメリカ人なのだ。彼らと交渉するには、やはり同じアメリカ人を立てなければ、それこそいいようにやり込められてしまうのが落ちである。

 そうは言っても、少々度が過ぎている気もしないでもない。もともと、松坂は、メジャー・リーグで投げたいという希望を持っているのだ。ギャランティーの金高よりも、メジャーで投げられるということの方が、多分松坂にとっては大きいのだと思う。しかし、例え松坂がそのような心情をボラス氏へ訴えたとしても、ボラス氏は同じような交渉を続けたであろう。何故なら、彼はアメリカ人であり、自分もマイナー・リーグの選手経験があり、アメリカの球界に於いて、入団交渉は最初が肝心であるということをよく知っているからだ。それと、彼にとっては、松坂は、あくまで商品なのだ。球団が交渉権に60億も躊躇いなくだすような大型選手なのだ。彼のキャリアにとっても、一生に何度とない大きなチャンスであり、成功すれば彼の実績になる。それだけではなく、松坂のギャランティーが多くなれば、彼自身の利益も大きくなるはずだ。それは、必死で冷酷なまでの交渉を続けるのは当たり前である。

 日本人は、とかく、交渉事においても、人間関係や情を絡ませることが多い。しかし、アメリカ人は、まったく違う。交渉は交渉、ビジネスなのだ。例え、相手が旧知の親友であったとしても、交渉で手を緩めることは絶対にない。そういう割り切りをできるのがアメリカ人であり、彼らの強さでもある。どのような交渉でも、非常にタフである。というか、交渉事でタフでない人は、ビジネスの世界で馬鹿にされてしまう。今の状況を見ていると、日本のファンの間では、あれではボラスは血も涙もない嫌なヤツで、松坂は人選を誤ったという声が多い。だが、アメリカではまったく逆だ。彼は凄いぞ、あんなにタフな交渉をする凄いヤツと一目おかれることになる。当然のことながら、今後の仕事も増えるはずである。

 大体が、アメリカ人はハッタリで生きているところがある。兎に角、執拗にハッタリをかます。だが、相手もハッタリを目一杯かましてくる。折れた方が負けである。折れたら、あいつは男じゃないよ、などと陰口さえ叩かれることになってしまう。まるで闘鶏のように、羽根を目一杯広げ、背伸びをして、背筋を伸ばして、目一杯胸を張って自分を大きく見せ、ハッタリで相手を打ち負かす。それが、アメリカ人の交渉術である。日本のテレビを観ていると、多くのコメンテーターが、あれじゃ出だしから松坂はファンへの印象が悪くしてしまう、などというコメントを言っている。だが、アメリカでは逆だ。「彼は、凄いよ。あんなにタフな交渉をさせて、しかもあんなギャランティーを勝ち取ったよ。アイツは、野球だけでなく凄いヤツだ。本物の男だよ」という具合になってしまう。カルチャー・ショックがあるかもしれないが、それがアメリカ流だ。

 だが、ドライなところは非常にドライであることを理解しなければ、大きなしっぺ返しをくうことになりかねない。あれだけ大騒ぎをして勝ち取った球団も、ケガや何らかの理由で松坂が必要なくなれば、あっさりと放り出すようなこともするであろう。白か黒か、右か左か、ハッキリしているのがアメリカ人である。グレー・ゾーンは、あまりないのだ。だからこそ、最初が肝心、最初の入団交渉が非常に大切なのである。契約書には、ファイン・プリント(小さな文字で色々と細かいことまで詳細に取り決め、保険の契約書の説明書きのように契約書に記載されている)で、色々な可能性を踏まえての対応条件が列記されている。どんな契約を取り交わす時でも、同じような交渉が行われるのが普通である。

 昔、ある日本の大手不動産会社とアメリカの建築会社のジョイント・ベンチャーをコーディネートしたことがあったが、それはタフであった。1ヶ月以上も契約のための交渉が続き、何度も何度もアメリカと日本を往復した。やっと、最終段階に到達し、本契約前の最後の確認作業を、ファックスを使ってやっていた。その最中、サンフランシスコの大地震が起こり、ファックスは中断され先方と連絡が取れなくなった。テレビのニュースを見ると、サンフランシスコが大地震で崩壊している様子が映し出され驚かされた。そんな最中でありながら、数時間後に先方から電話が入り、少々修正したいところがあるが、ファックスも電話も繋がりにくいので、直ぐにサンフランシスコまで来てくれと言われた。「大丈夫なのか?」と訊ねると、「大丈夫だ。隣のビルは崩壊しているが、ここは大丈夫だから早く飛んで来い」という返事が予想外に返ってきて驚かされた。そこは、建築関係の会社だったので、お手の物であった。災害救援用の便に席をとってくれ、翌日私はサンフランシスコへと飛んでいた。このように、アメリカ人は、契約に関しては非常に燃える。そして、絶対に譲らない。非常にタフなのである。

 タフと呼称されることを、アメリカ人は非常に誇りに思っている。故に、交渉事では、非常に時間を要し、精神的にも追い詰められる。日本人は、どうしても焦る傾向がある。もう、仕方がないから相手の条件をのんで、兎に角契約をし、後からその都度変更するなり、話し合えばよいなどと直ぐに言い出す。しかし、そのような発想は、アメリカ人にない。一旦契約が結ばれてしまえば、その契約書が絶対なのだ。このような、契約に対する意識が、日本人とはまったく違う。今回の松坂の入団交渉に関しても、まったく上記の通りだと思う。ボラス氏は、多くの日本のメディアから批判されても、何とも思っていないはずだ。彼は、タフであることに誇りをもっているに違いないからだ。

 一つだけ心配なのは、契約が成立した後だ。アメリカ人の場合、これだけ長期に渡るタフな交渉の後に契約され、また莫大な年俸を手にすることができても、当人である選手はまったく萎縮することなく、やはりハッタリをかますことができる。ここがアメリカ人の強みである。当然のことながら、球団も大枚をはたいて手に入れた選手である。ある意味、選手を商品として見る。使い物にならなくなれば、容赦なく切り捨てるようなことも有り得るであろう。だが、アメリカ人選手は、ハッタリで乗り切る。日本人である松坂が、どこまで今回の交渉事のことを忘れ、萎縮せずに野球ができるかどうかということが、唯一の心配事だ。律儀な日本人は、これだけの交渉の末、これだけのギャランティーをもらったのだから、それだけの成果を出さなければと堅くなってしまうはずだ。どれだけリラックスして、球を投げられるかが、彼の大きさを測るバロメーターとなることは間違いない。

 野村監督ではないが、「使い捨てられ、潰れてしまわなければよいのだが」あれだけの選手である。そんなことを思う。日本の球界にとっては、宝である。だが、アメリカの大リーグにとっては、ただの一選手である。その他大勢の一人でしかない。しかし、松坂は、高校野球の時代から、日本の球界切っての大物選手と言われてきた。度胸も人一倍あるに違いない。心配などするのが、余計なお世話かもしれない。兎に角、日本の代表として、何としても頑張ってほしいものだ。陰ながら応援することとしよう。
by seizaikai_club | 2006-12-14 15:12 | アメリカ関係
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「政治をもっと身近に」をスローガンにして、日本人にもっと「愛国心」を喚起すべく語る。
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政財界倶楽部代表  恩田将葉
 「政治をもっと身近に」をスローガンに、一人でも多くの日本国民が政治に関心を持ち、参加してくれるよう、執筆活動、出版活動等を通じ「愛国心」啓蒙活動をしている。国際化が進む世界の中で、日本の政治も若者の手で変革しなければならない!!

 政財界倶楽部代表恩田将葉は、 アメリカ合衆国カリフォルニア州で約9年間生活。その間、サン・フランシスコ州立大学(San Francisco State University, SFSU)国際関係学部で国際関係学と政治を学び、朝鮮半島問題専攻で卒業。その後、暫くアメリカで現地法人の会社(People Intertrade, Inc.)を経営した後帰国。帰国後は、記者と編集者を経て出版社である株式会社ぴいぷる社と株式会社政財界出版社、そして、夕刊紙「内外タイムス」を発行する株式会社内外タイムス社の社長に就任。活字業界一筋に生きてきた。現在は、経営から一歩引き、国際情勢ならびに政治を中心に、ジャンルを問わず執筆活動を継続中。プロの文士として、随筆、小説、脚本等あらゆる分野で執筆活動を展開し、文章を綴ることを天職としている。そのかたわら、日本に、嘗てのごとく「愛国人」を増やすべく、「政治をもっと身近に」をスローガンに、自ら「政財界倶楽部」を運営している。

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