アメリカ中間選挙の結果を見聞して
2006年11月8日
アメリカの中間選挙も、ほぼ終わった。後は、49対49と拮抗する上院の結果を待つだけだ。
総括してみると、アメリカ人の政治意識の高さを見せ付けられたということではないか。見方は色々ある。日本の多くのメディアが評論しているように、アメリカ国民が二極化しているということも言えるのかもしれない。だが、それよりも、アメリカ国民が、政治的良識をわきまえていることをあらためて証明した投票結果であった、と私は思う。
二年に一度全議席が改選される下院では、民主党が圧勝した。これは、明確なるアメリカ国民よりの声だ。イラク問題等への不満が蓄積され、アメリカ国民は共和党に満足していないということに他ならない。もう、これ以上アメリカ軍兵士を無駄死にさせたくない、イラクという迷路から抜け出したい、という世論の高まりを象徴している。その結果、民主党へ大きな期待感が高まった。
しかし、このような厳しい状況下でも、アメリカ人有権者は、政治的良識を維持し、感情論で投票をすることを自制した。その結果が、上院での最後まで拮抗した選挙戦である。感情に流されるままにアメリカ国民が投票していれば、上院は全体議席の1/3の改選とはいえ、民主党が圧勝したはずである。ところが、下院では、民主党が圧勝したが、上院では共和党と民主党が拮抗した選挙戦を最後まで繰り広げている。これは、感情論ではイラク政策に反対で、これ以上共和党は支持できない。民主党に大きな期待をよせるが、両議院を民主党が制することで、後2年残されたブッシュ政権下、政治が混乱することをアメリカ国民が回避しようとしていることの表れではないか。よって、全議席改選ということで選挙結果に民意が100%反映される下院では、民主党を支持し圧勝させた。だが、議会がアンバランスになることで、政治が混乱することも国民は望まない。よって、上院では、共和党と民主党が最後まで拮抗した選挙戦を繰り広げる、という結果になったのであろう。アメリカ人の政治意識と政治への関心度の高さを象徴した結果ではないか。