アメリカ人の政治に対する意識の高さを顕著に表す中間選挙
2006年11月8日午後5時00分
今回の中間選挙は、アメリカ史上類を見ないほど意味深い選挙であった。イラク戦争の泥沼化から、多くの国民は、ブッシュ政権への不支持を露にしてきた。それは、どこの国民でも、自国民が毎月100人から戦死していれば、その政府に対して不信感を抱いて当然である。
このような厳しい状況下、今回の中間選挙は行われた。しかも、ブッシュ政権二期目の中間選挙。それでなくとも、与党が負ける確立は非常に高い選挙である。悪い条件は揃っている。ブッシュ政権前のクリントン政権時代から、ここしばらく長きに渡って議会は共和党が過半数を維持し続けてきた。そんな長期共和党主導議会が続いてきた状況でのイラク戦争の泥沼化、有権者が民主党に流れるのは必然である。
ところが、蓋を開けてみると、上院ではギリギリまで接線を繰り広げている。午後四時の段階で、まだ結果は出ていない。しかも、共和党と民主党は三票という僅差で拮抗している。
これは、アメリカ人の政治に対する意識の高さを物語っている、と私は思う。イラク戦争には反対であっても、政治がネジレ現象を起こし停滞することを良しとしないアメリカ国民が多数いるということの表れだ。アメリカ人は、単に感情論のみで貴重な一票を投票しないということが証明された。例え、共和党が、負けたとしても、この事実は非常に意味深い。
上院でも、下院でも、民主党が過半数をとってしまえば、残り2年のブッシュ政権は、民主党が主導する議会の言いなりにならなければならない。正しい政策も通らないというような、理不尽なことも起こりかねない。アメリカ国民は、その辺のことを客観的に捉え、感情を抑えて投票したのであろう。日本国民も、大いに見習わなければならいことではないか。
やはり、まだまだ、日本とアメリカでは、国民の政治意識のレベルが大いに違うということのようだ。そうは言っても、小泉前首相による、郵政解散総選挙以来、日本国民も感情論で投票したり、組織の言いなりに投票したり、という無責任投票が少なくなってきた気がする。このまま、アメリカのようなレベルまで、国民が政治に対する興味と意識を高めてくれることを切に願う。