北朝鮮問題に本腰を入れ出したアメリカ
支持率低迷のブッシュ政権にとってのウルトラC
人権問題としての北朝鮮による拉致問題
2005年11月4日
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北朝鮮問題が、拉致問題を含め急展開している。何故、ここにきて北朝鮮が交渉を再開させたのか? それは、小泉政権が選挙で圧勝したからでも、第三次小泉内閣の布陣が決定されたからでもない。まったくそれらのことが影響してないとは言い切れないが、それらの影響力によって動いたのではない。それでは、何故北朝鮮はここにきて動きだしたのか。それには、アメリカの影響力が大である。
ブッシュ政権は、第二期に入って以来、苦難の道を歩んでいる。歴史的に振り返ってみると、アメリカ大統領の第二期目は例外なくイバラの道である。ニクソン大統領はウォーターゲート事件、レーガン大統領はイラン・コントラ事件、クリントン大統領は不倫事件、それ以前の二期大統領を務めた人々は、非常に辛い道を歩んだ。
そのことは、アメリカの大統領が二期しかできないということにも関係がある。二期目に入ると、次期大統領戦に向けての熾烈な政戦が幕を開ける。二大政党制が根付いているアメリカでは、普通、共和党政権の後は、自然と民主党政権へと交代される。当然のことながら、そのように決まっているのではないが、国民がそのような選択をすることが多いということだ。このような事情もあり、第二期目以降は、次期大統領を狙う対抗政党からの各種攻撃が激化する。選挙戦も含め各種スキャンダルが噴出したり、支持率を下げるような事件が発覚したり、と色々なことが起こることが多い。そして、ブッシュ大統領も例外ではなかった。
ハリケーンの対応遅滞問題にはじまり、イランへの派兵問題、CIA情報漏洩問題など、次から次へと問題が発覚し、ブッシュ政権の支持率は過去最低を記録している。そんなブッシュ政権が、支持率を挽回しようとするのは当然である。その挽回策の一つとして、北朝鮮問題、そして、北朝鮮による拉致問題に焦点が当てられたのだ。ある意味、自然な流れと言えば自然である。何故ならば、アメリカ世論は、常に人権・人道問題に非常に大きなシンパシーを示す特徴がある。ブッシュ政権が、支持率挽回策として、こんなに大きなチャンスを見逃すわけがない。北朝鮮問題は、アメリカにとっても頭の痛い問題なのである。よって、ある意味一石二鳥とも言えるのだ。
上記したような状況を視野に入れ分析してみると、今後の北朝鮮問題の行方がある程度予測できる。国際関係に関しては、100%ということはあり得ない。当然のことながら、国際情勢の変化や、相手国の変化等、その原因は色々ある。しかし、現状のまま進めば、今後北朝鮮を取り巻く状況は、かなり厳しいものになることは一目瞭然である。少なくとも、アメリカが北朝鮮を最重要案件として、射程圏内に入れたことだけは間違いない。そして、このように複雑な状況を冷静に判断し、間髪を入れずブッシュ大統領にアプローチし、拉致問題を人権・人道問題として北朝鮮問題にブッシュ政権の関心を導いたのは、国連の演説のために選挙後日帰り訪米した小泉首相であった。