1994年朝鮮半島危機と同じく「ソウルを火の海」声明
2010年6月13日
北朝鮮の軍総参謀部は12日、韓国軍当局が哨戒艦沈没事件の対抗措置として表明した「心理戦」の再開について「重大布告」を発表し「全前線において心理戦手段を痕跡もなく清算するための全面的な軍事的打撃行動に進入することになる」と警告した。韓国軍は、軍事境界線一帯で宣伝放送用拡声機などの設置を進めているが、北朝鮮側は「ソウルを火の海」という表現まで使い反発した。(毎日新聞ニュース)
これは、1994年の朝鮮半島危機の際とまったく同じ言葉を使っている。あの時は、「ソウルを火の海」という声明が出されて24時間以内に、大きな危機感を感じた在韓アメリカ大使が独自に動き、ジミー・カーター元大統領を動かし、ジミー・カーターが時の大統領クリントンを説得し、特使として翌日にはピョンヤン入りを果たし、金正日との非公式会談により、何とか総攻撃開始30分前に危機を回避した。既に双方とも準備は完了しており、キッシンジャー大統領補佐官など空爆強硬派に賛同する政治家ならびに軍幹部は秒読み段階に入っていた。北朝鮮側も、既に攻撃態勢は整っており、最終命令が下りソウルへのミサイルならびに遠距離砲の引き金が引かれる寸前のところであった。
当時アメリカ側は、開戦直後30分でソウルが焼け野原になることは想定されていたが仕方なし、ということでその後の空爆で完全に金政権を打倒というシナリオで進もうとしていた。だが、カーターの働きかけで、双方を一旦抜いた剣を鞘に納め事なきを得た。しかし、アメリカは北朝鮮側に折れる形で苦湯を飲まされた。ヒラリー・クリントン国務長官は、この時の怨念を今でも胸に抱いている。そのことが、今回の危機がどういう展開を見せるかの一番大きなポイントではないか。
日本は、沖縄基地反対などと寝ぼけたことをいっているが、既に在日米軍は、万が一に備えての臨戦態勢に入っている。ことが起きてからでは遅いのだ。これこそが、目には見えないが抑止力だ。だが、果たして、今回はこの抑止力が働くものか否か。北朝鮮もなかなか強かである。油断はできない。