亀井静香の郵政民営化逆行改革案の問題点
2010年3月25日
昨日、亀井静香が郵政民営化に関しての逆行改革案を発表した。閣議決定されたわけでもないにもかかわらず、独断で告知したのは彼なりの政治的思惑による戦略であろう。実際、彼自身が「小泉郵政改革に逆行するものだ」と断言した。結局のところ、弔い合戦ということだ。
小泉元首相による郵政民営化も、長い政治史からすると弔い合戦という一面もあった。田中角栄と福田赳夫による、角福戦争での福田敗北へ対しての弔い合戦であったのだ。だが、世間でよく言われるように、小泉郵政改革が悪かったとは私は思っていない。後世、あの改革があったからこそ、と歴史の1ページに刻まれるはずだ。確かに、我々利用者の立場からすると、色々と弊害もでた。だが、改革には痛みが伴うものだ。ただ、問題点も多々あったことも否めない。そういう意味では、今回の亀井案の中にも、評価できる部分がないとはいえない。
例えば、利用者にとっての利便性という意味では、小泉郵政改革による民営化により弊害が多々生じた。ポストの数が減ったとか、ユニバーサル・サービスの減退とかということだ。そういう意味では、ユニバーサル・サービスを向上させ、パスポートの発給や保険を充実させるなどの亀井流公的サービス向上案は、大いに評価できる。
その反面、小泉郵政民営化に逆行することによって、自民党の大きな票田となっていた特定郵便局票の取り込みという政治的思惑が一目瞭然であるところは、憂慮すべき問題である。それこそ時代の流れに逆行しているとしか思えない。折角、政治改革が為され進行しているにもかかわらず、逆行し旧態依然とした体制に戻そうとしているように見える。ただ、自民党にとって代わって国民新党になるだけで、古い政治体制であることに違いない。この点は、大いに懸念する点だ。
鳩山総理は、結局のところ亀井静香を閣僚ポストに据えたことで、足を引っ張られてばかりではないか。弱小党である国民新党が、ことあるごとにイニシアティブを取ってしまう。いうなれば、亀井の方が鳩山より一枚上手、戦上手ということだ。亀井は、連立与党の仲間入りをしたことをフルにアドバンテージとして利用している。ところが、総理である鳩山氏は、自分を押しだせず振り回されているだけだ。呆れてしまう。
このまま亀井に振り回されれば、折角小泉改革で官から民へという流れを作ったにも関わらず、またしても民から官への旧態依然とした古い政治体制に逆戻りしてしまう可能性が非常に高い。それは、国民が望んでいたことではない。官主導に戻すために、我々国民は小泉郵政改革を郵政選挙で支持したわけではなく、民主党への政権交代を支持したわけでもない。こんなことをしていたら、ますます民主党の支持率は下がる一方だ。鳩山首相には、「国民のために」という大前提で、もっともっと目に見える英断を下して頂きたい。時には、勇気をだして、連立を切り捨てるぐらいの覚悟をもってほしいものだ。そうすれば、きっと多くの国民は、鳩山首相や民主党を支持するであろう。腰が引けていては、改革などできるはずがないのだから。だとすれば、さらなる大きな政界再編を我々国民は望むのみだ。